耳ケロイドの単純切除について/にしやま形成外科皮フ科クリニック(名古屋栄3丁目)
耳ケロイドの専門的治療にこだわっています。
当クリニックでは10歳代後半から30歳台の男女の患者様が多く治療を受けられています。
耳ケロイドの症状は、「硬くて痛い」、「耳が重い」、「耳の形が悪い」などです。
ピアスをあけた後に、ファーストピアス金属の素材によって感染を繰り返したり、傷が金属による反応で炎症が長く続いたりすると、ケロイドと呼ばれる赤く硬い腫瘤になる可能性が高まります。このようなケロイドは、形成外科の技術を用いることで、手術治療することが可能です。
ケロイドの手術を行うにあたり、まずは前治療として内服薬、外用薬、ステロイドテープ、ケナコルト局所注射などの治療を数か月行います。この前治療によりケロイドは軟化して、手術後の再発などを防ぐ効果があります。
耳ケロイドの前治療方法
1) 内服薬
飲み薬では「トラニラスト」と「柴苓湯114(さいれいとう)」という漢方薬(粉末)がケロイドに対する強い軽減効果があります。トラニラストは、気管支喘息などに用いる抗アレルギー剤であり、炎症細胞が出す化学伝達物質を抑制する成分がケロイドや肥厚性瘢痕の組織中に作用することより、痒みをはじめとする自覚症状を抑え、さらには病変自体を沈静化させると考えられています。
2) 塗り薬
塗り薬としては、ステロイド系の軟膏、ヘパリン類似物質の軟膏・クリーム・ローション・スプレーなどの保湿剤を使用します。内服薬と同じようにヘパリン類似物質の外用はにきび跡にも効果を発揮する外用薬です。
3) 貼り薬
ケロイドには、抗炎症剤である強い効果が得られるステロイドテープ「エクラー®プラスター」を1日1回24時間張り替えて頂きます。「エクラー®プラスター」の成分は、デプロドンプロピオン酸エステルです。3か月間の連続使用でかなりの効果を期待できます。
5) 注射
ステロイド(ケナコルトA)注射は、患者さんとよくご相談させていただいてから必要なときのみに使用いたします。他の治療に比べて、ケロイドの赤みや盛り上がりは著明に減少します。にしやま形成外科皮フ科クリニックでは極力痛みが少なくなるように、局所麻酔薬の混合、細い針を使用、注射する場所などを考えながら、患者さんが痛みをあまり感じないように工夫しています。ステロイドは、時に毛細血管の拡張を、毛包炎の多発、皮膚の菲薄化などが生じることもあります。
ケナコルトの局所注射は、テクニックが必要なので形成外科専門医を受診することをお勧めします。注射にはキシロカインの麻酔を入れてあります。ケロイドのふちを中心に入れることで増殖を抑制します。
手術する方法の説明
1:ケロイドが有茎性や単独のものであれば単純に切除して縫合を行います。
2:ケロイドが耳垂にある場合には減量、核出手術を行います。
3:ケロイドが前後にある場合には、耳の表裏に切開を行いくり抜きます。
☆1の単純切除のケース
1:ケロイド前治療を2ヵ月行うと、ケロイドは軟化してやや小さくなってきます。このように前治療をしっかりと行うと、手術後再発をなるべく少なくすることができます。
2:ケロイドを含めて皮膚を極力小さめの紡錘形に切開するデザインを行います。この皮膚の取る量が多すぎると縫合しずらくなり、再発の原因ともなります。
3:局所麻酔を行い、デザインに沿ってケロイドを除去したら皮膚の皮下剥離を行い、止血をした後、皮下は6.0吸収糸、皮膚は6.0ナイロンで縫合します。皮膚のナイロン糸は5~7日目に抜糸を行いテーピングをしてもらいます。
4:手術の後療法について
外科的で摘出手術をしたとしても、稀にケロイド体質の強さなどにより再発することもあります。そのために十分なケロイド前治療をする必要があります。キズアトの治療は最低半年から1年程度のフォローアップが必要となります。
耳ケロイド摘出術を行った場合の費用の目安
手術費用(3割負担の場合)のおおよその目安