全ての粉瘤が簡単に除去できるわけではない/にしやま形成外科皮フ科クリニック(名古屋栄3丁目)
愛知県名古屋市中区栄のベテラン形成外科専門医:西山 智広
肘関節にある粉瘤(アテローム)除去について
「すべての粉瘤が簡単に除去できるわけではない。難しい手術もベテラン形成外科専門医の経験値が有用である」
粉瘤は、全身のどこにでもできる良性のできものです。 大きさは、腕豆大~鶏卵大で半球上に隆起し、弾性硬の皮内腫瘤で大きいときは波動を呈することもあります。毛穴が何らかの原因でつまり、皮脂や垢などが皮膚の袋の中に貯まっていきます。
皮下腫瘍は出来ている部分によっては、触診だけでは判断できません。MRIなどの画像診断なども行い、安全に手術できることを十分に確認する必要があります。また、粉瘤と診断されても全てが簡単に除去できるとは限りません。できている大きさや出来ている部位によっては、除去に少し苦労する場合もあります。
1:肘の部分にできた皮下腫瘍
このような場合には、粉瘤や脂肪腫なども踏まえて、MRIでの画像診断を行い内容物の性状や出来ている部分など確実に術前に確認を行います。今回は長径5cmの粉瘤との事で局所麻酔による日帰り手術で摘出を行います。
2:皮膚切開のデザイン
粉瘤により延ばされた皮膚部分を考慮して、皮膚を紡錘形に切開するデザインを行います。最終的な縫合線は皮膚のシワのラインに合わせます。
3:粉瘤の摘出
粉瘤は被膜に包まれてできているので、被膜を破らないように慎重に剥離を進めていきます。そして粉瘤の底面に達すると、底面は肘関節の関節包にべったりと癒着していたので、関節包を保護しながら慎重に底面の剥離を行いました。解剖を十分に理解しないと手術中に迷子になってしまう可能性があるので要注意です。
粉瘤は、肘の関節包を傷つけることなく一塊として取り除くことができました。
4:皮膚縫合とドレーン留置
創部内の出血点をバイポーラで止血して、皮下は6.0吸収糸、皮膚表面は6.0黒ナイロン糸で皮膚を絞めすぎないようい軽く縫合、更に縫合部の下に血液などが貯留しないようにシリコン製排液ドレーンを挿入します。
5:ドッグイヤー(Dog-ear)の処理
皮膚腫瘍を取り除く際、皮膚を紡錘形に切り取りそのまま皮膚を縫い縮めようとすると、その両端の皮膚が持ち上がって余ります。この外観が犬の耳に似ていることから、ドッグ・イヤーと呼ばれます。手術時にこの処理が不十分であると、両端の盛り上がりが残ったままになります。この修正を行うことにより、切開線はしわに沿って長軸方向に延長されキレイになります。
6.手術痕のフォローアップ
手術痕は、体質や個人差もございますが、肌色のスキントーンテープを使った皮膚固定や内服薬による傷跡の赤みや硬さの軽減など約半年間の治療をおこなうことで最小限にすることができます。
当クリニックでは、皮膚皮下腫瘍摘出手術は、局所麻酔の日帰り手術で取り除くことができます。形成外科では、手術を多く手掛けているため、できる限りキズアトが目立たなくなるように慎重に治療を行います。
※この治療は健康保険の対象となります。