後頚部にある粉瘤摘出術について/にしやま形成外科皮フ科クリニック(名古屋栄3丁目)
愛知県名古屋市中区栄のベテラン形成外科専門医:西山 智広
後頚部の粉瘤(アテローム)除去について
粉瘤は、全身のどこにでもできる良性のできものです。 大きさは、腕豆大~鶏卵大で半球上に隆起し、弾性硬の皮内腫瘤で大きいときは波動を呈することもあります。毛穴が何らかの原因でつまり、皮脂や垢などが皮膚の袋の中に貯まっていきます。
粉瘤はどれぐらいおおきくなるのか?
当クリニックで最も大きかった粉瘤は入院治療は嫌との事で35年間で長径15cmとなった例です。これは、かなりレアなケースとしか言いようがありません。本人の希望により局所麻酔の日帰り手術で摘出を行いました。
大きな粉瘤は、全て切開切除法適応となります。
大きな粉瘤は、切開して確実に取り除ききっちりと縫合する方法以外にありません。
1:術前の画像診断(MRI)
MRIで被膜、内容物の性状、深部との繋がり、皮下に限局してるかなどの確認を行いました。
2:皮膚切開のデザインと局所麻酔
形成外科では、皮膚切開線は、キズアトが必ず皮膚のシワのラインと平行になるように慎重にデザインをします。今回は皮膚の余りを考慮して紡錘形の皮膚切開と、正中の中心部にZ形成術を用いて、最終的なキズアトが綺麗になるように配慮を行いました。局所麻酔は、極量に注意しながらも最も有効な部分を考えて注射を行っています。
3:粉瘤(アテローム)摘出
粉瘤は被膜に包まれてできているので、被膜を破らないように慎重に剥離を進めていきます。この場合には、辺縁から粉瘤の下側に回り込むことを確認するまで気が抜けません。下側に回り込んだら粉瘤の下部の剥離を行います。
4:皮下縫合
粉瘤を取り除いたら、次はクリア吸収糸による皮下縫合を行います。そして正中部にZ形成術を行いキズにかかるテンションを和らげるように工夫を行います。これは、形成外科独特の方法です。皮下縫合は傷跡があとで広がるのを防止することと、皮膚縫合糸を早く抜糸できるというメリットがあります。基本的には、皮下縫合糸は時間が経つと溶けてしまいます。
5:ドッグイヤー(Dog-ear)の処理
皮膚腫瘍を取り除く際、皮膚を紡錘形に切り取りそのまま皮膚を縫い縮めようとすると、その両端の皮膚が持ち上がって余ります。この外観が犬の耳に似ていることから、ドッグ・イヤーと呼ばれます。手術時にこの処理が不十分であると、両端の盛り上がりが残ったままになります。この修正を行うことにより、切開線はしわに沿って長軸方向に延長されキレイになります。
6:皮膚縫合とドレーン留置
皮膚表面は、黒いナイロン糸で皮膚を絞めすぎないようい軽く縫合し、更に縫合部の下に血液などが貯留しないようにシリコン製排液ドレーンを挿入します。
7.手術痕のフォローアップ
手術痕は、体質や個人差もございますが、肌色のスキントーンテープを使った皮膚固定や内服薬による傷跡の赤みや硬さの軽減など約半年間の治療をおこなうことで最小限にすることができます。
当クリニックでは、皮膚皮下腫瘍摘出手術は、局所麻酔の日帰り手術で取り除くことができます。形成外科では、手術を多く手掛けているため、できる限りキズアトが目立たなくなるように慎重に治療を行います。