腋窩の副乳の除去手術について/にしやま形成外科皮フ科クリニック(名古屋栄3丁目)
2021-08-16
愛知県名古屋市中区栄のベテラン形成外科専門医:西山 智広
「副乳(ふくにゅう)=accessory breast」は、胎生期に退化しきらずに遺残してしまった乳腺組織のことを言います。
普通正常な乳房の位置は、両側の前胸部に左右対称にあるものですが、人によっては、通常の位置とは異なる場所に、乳頭のようなものや、乳輪のようなもの、少し陥没したえくぼのようなものを見つける場合があります。
哺乳類では胎生期に、腋窩から乳房、鼠径部(そけいぶ)の恥骨付近を通って体表を縦に線でつなぐように分布する乳腺堤(mammary ridge)があります。
ヒトでは生まれるまでに胸部にある1対の乳腺組織以外は退化してしまうのですが、この線上であれば乳腺組織が残る可能性があります。特に、腋窩付近は、いちばん残りやすい部分です。
手術の詳細
副乳は、その症状にあわせて、局所麻酔を用いて乳頭・乳輪などを含む皮膚及び乳腺組織を取り除きます。
1:腋の下にある副乳は、結構難しい手術となります。乳腺は粉瘤や脂肪腫のように被膜に覆われているわけではないので、境界線が明確ではありません。そのため、副乳除去には手術経験と熟練のテクニックが必要となります。私は、腋臭症の手術を多く手掛けているのでこの治療に関してかなり役立っていることは間違いありません。
2:乳腺がどの範囲まで及んでいるかをマーキングして、直上の皮膚を紡錘形に切開します。その後、マーキング部位の外側まで乳腺の直上を皮下剥離します。
3:乳腺組織を下層よりはがすときに最も注意することは、浅くなく深くなく乳腺を剥離することです。また乳腺組織は剥離した皮膚の裏面や周囲にもべったりと張り付いているので、腋臭症のアポクリン線を剪除するテクニックで慎重に削ぎ落し取り残しが無いように注意します。
4:その後にバイポーラで止血して皮下を吸収糸で、皮膚はナイロン糸で縫合し、シリコンドレーンを挿入します。
5:術後に翌日あるいは翌々日にドレーンを抜去、5日目に皮膚縫合糸を抜去して、テーピング固定とキズアトを綺麗にする内服薬を投与します。キズアトのフォローアップを6か月間行いますが、キズアトの幅や盛り上がり方などについては体質による個人差があります。
副乳手術症例一覧
副乳摘出手術の料金について
手術費用(3割負担の場合)のおおよその目安
※公費負担医療証をお持ちの場合には全てお持ちください(負担割合0割、1割、2割などが適応となる場合もあります。)