脂肪腫(リポーマ、Lipoma)の摘出手術について/にしやま形成外科皮フ科クリニック(名古屋栄3丁目)
2017-08-04
脂肪腫(リポーマ、Lipoma)の摘出手術についての説明について
脂肪腫の原因について
脂肪腫は、良性の脂肪細胞のかたまり(腫瘍)で繊維質の房状の袋に包まれています。脂肪腫は体のどこにでも出来ますが、最も多いのは体幹、首、額、太腿、上腕等です。また、複数の脂肪腫が同時に出来る事もあります。脂肪腫が出来る原因については不明です。
脂肪腫の症状、特徴は
臨床症状は無く、ゆっくりと時間をかけて成長する特徴があります。残念ながら一度出来ると自然に消える事はまずありません。脂肪腫の大きさは3cm大から、大きいものでは10㎝以上になるものもあります。例えば、肩に10cmの大きさの腫瘍があるとやはり肩が重いと感じられるようです。触った感触は、やわらかくゴム状のような感じです。
脂肪腫の診断法は触診、問診、画像診断など
診察や問診でおおよその診断はつきますが、別の腫瘍の可能性や周囲組織との関連性、特に深部に入り込んでいないかなどCTあるいはMRIなどの画像診断を行い確認をすることで安全に摘出することができます。
治療法は手術で摘出する
脂肪腫の治療法は、形成外科的に取り除く以外はありません。
脂肪腫摘出手術について
皮膚切開線は、脂肪腫の長径よりも小さめでシワに合わせたラインをデザインします。
事前にMRIで脂肪腫が皮下、筋膜上にあり皮膜で包まれていることを確認しています。手術は、局所麻酔を行いまず脂肪腫の上部の被膜ラインを探してその全体像を見極めます。
脂肪腫の全体像が判明したら、少しずつ手刀つまり手の指の感覚で被膜と組織を慎重に剥離していきます。ある程度剥離をしてギュギュと周りを押すと脂肪腫が被膜ごと飛び出してきます。
手術用ハサミでカッティングするよりも、短時間でできる、余計な組織を切ったり傷つけたりしないという点では手刀は優れている方法だと思います。
脂肪腫は、20分程度で取り除くことができましたので、その後は創部内を生理食塩水で良く洗浄して皮膚を形成外科的に2層に縫合していきます。取り除いた脂肪腫は、病理検査に提出しており2週間ぐらいで結果が判明します。
最後に、排液のためのドレーンを挿入してハイドロコロイドゲルテープを貼って手術は終了です。術後は、5日間の通院で創部に入っているドレーンを抜去したり、バイ菌による感染の有無、体液が溜まる漿液腫の有無などをチェックしていき、5日後に抜糸とスキントーンテープによる固定を行います。
手術痕は、個人差がありますが体質や部位によって、赤く盛り上がったキズアトになる可能性があります。特に、肩や上腕、前胸部、下腹部、首などは好発部位と言われ、そのような状態になりやすいため要注意です。術後は、ケロイドや肥厚性瘢痕を予防する内服薬やテーピングなど積極的に用いて約半年間フォローアップします。
一つ一つの確認作業を慎重に検討していくことが基本になりますが、できものの性状や大きさによっては当クリニックでは難しいと判断することもございます。このような場合には、大学病院との連携を密にとっておりますのでご安心下さい。